二十世紀最後の年。この2000年に、
20年間背負い続けた宿命と、しがらみを捨て去り、

二十一世紀の始まり。

2001年『私の大地』に全てを賭けてスタートしたい。

もうこれで、後戻りは出来ない所まで来てしまった事を、
残された時間の中で、きっちりと自分自身に戒めなければならない。

そんな自分が進もうとしている、新たな道は、

これまでとはまた、別の意味で苦しくて、
不安で不安でたまらない日々が、はじまる事は間違いない。

しかし、自分の考え方で、誰からも拘束される事なく
自由に生きて行けるのなら、

        結果的に、たとえ敗れたとしても悔いはない。


全くゼロからのスタートは、
遠く山間に、北アルプスを望む事が出来るところ

『私の大地』。

砂ぼこりの舞い立つ林道のどん詰まり、

雑草で覆い尽くされた休耕田は、
   ぬかるんで車も入る事が出来ないが、
        贅沢な事を言うつもりはもうとうない。

むしろ、少しでも北アルプス乗鞍岳が見える位置に、
自分の居場所(始まり)として立っていられる事を嬉しく思っている。

ここで自分のしたい事を思い・・・・、
    考え、創造することが出来るか、どうか?

そしてそれを実行させていく事が出来るか?どうか?

             ・・・・自分の個性、スタイル、形を作る。

それをやらなければ独立の意味はない、
ゼロの自分の可能性を試す時がはじまったのだ

でも今のところは・・・何もない。

もちろん金もない、やりたい事も、
     ぼんやりとしか見えてはいない。

ただ決めている事が少しあって、
まず畑を作り耕したいと本気で思っている

大根と、ねぎ、そして白菜とスイカ、
それぞれの形と個性を整列させて、美しく作りたい
間伐材を集めて棚を作り、ぶどうを実らせてもみたい

土と水と木の心からの素朴を感じて。
並んだ作物に北アルプスを重ねた自分の風景・・・・・・・・

そんな風景を作り、
  そこに、まず染まる事から始めたいのだ

飾ることなく、ありのままの姿になる事ができたら・・・・ 
きっと何かが解かり始まるような気がしてならない。

人と人の関わり合いも、泥を使う塗り壁も、
ありのままの自分をむき出しにして進みたいのだ。

今の自分に最も相応しい事は、
    ただただ自然体になる事、

理屈や体裁からではなく、
まず、心から、湧き上がるものを素直にやってみるしかない!

だから、この『私の大地』に何ら不服はない

・・・・これで十分だ。

暦の上では春とはいえ、まだ寒さ厳しい飛騨。

閑散とした状況の中、
  隙間風吹き抜けるプレハブには、
        いまだ電気も水もないが、

まず「職人社 秀平組」と名乗り、看板を一つ挙げよう。

そうして、自分の中にある左官に賭けてみたいと決意している。

                ・・・踏み出す以外に道はない。